藤原知先生


藤原知先生は、元解剖学者(大阪市
立大学助教授)で、かつてボンハン学
説の解剖組織学的検証と解説をされま
した。
ボンハン以後も、経穴経絡の実態研
究や古典研究に様々なアプローチをされ、竹山晋一郎先生のご意志を受け継
いで、斯界の復興を一貫して念じた文
筆を揮い、私達の足元を照らして下さ
いました。
解剖学の分野では、系統解剖学の先
駆的著述があり、体表解剖学は現在も
医歯薬出版より発刊されています。

著 書 の 一 部
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ボンハン学説
ボンハン学説は、1961年~1965年に亘り、朝鮮民主主義人民共和国のキム・ボンハン博士によるツボ(経穴)やツボ
のつながった道(経絡)の形態や機能、特に経穴経絡の解剖組織学的実態を発見したという研究です。藤原知先生の行った追試
の貴重な映像がありますので、映像だけではなく観察記録として発表する用意をしています。


内臓の周囲にある内外ボンハン管です(家兎)
PVS


PVS(プリモ脈管系)経絡の解剖学的構造
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癌 PVSは潜在的転移経路であり、薬
物送達路です
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再生 マイクロセルはPVSに流れます
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新しい解剖学的構造 PVSはよく発達
した脂肪組織です(写真の青い部分)
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生理学 PVSは活動電位を示す興奮性
細胞を有しています
現在ボンハン学説は、蘇光燮ソウル国立大学生命科学科名誉教授を中心とした韓国の科学者により、PVSという研究に進化しています。左写真は2010年、
韓国で開催されたPVSのシンポジウムで、招聘を受けた藤原知博士と会頭の蘇光燮教授。固い握手をかわし、さらなる発展を祈念し、別れを惜しんでいました。
中央写真は、シンポジウム記念誌の表紙を飾るPVSとその注釈。蘇先生とは2015年に昭和大学において私がお会いする機会を得ています。
マイクロセルとはボンハン学説にあるサンアル学説のサンアル(細胞の卵という意味)を指すものです。藤原先生は当時ボンハン学説入門でサンアル学説を
細胞のスクラップアンドビルド説と説明しています。細胞のリサイクル説が話題となっていますが、リサイクルにスクラップアンドビルドとして鍼灸が一役買う
としたら・・・PVS研究への期待はふくらみます。
鍼の旋回運動

鍼の旋回運動は、医道の日本誌平成13
年6.7.9月号に連載された拙稿の題名です。
私の経絡研究の端緒となりました。
ボンハン学説の重要な現象と相互関係
があると藤原先生より国際的シンポに肯
定派として推挙され、先生との親交を深
めるきっかけともなりました。
私がボンハン学説を知る資料となったのは、父が完全失明に至るまで、
継続購読していた、山と積まれた月刊同人雑誌「医道の日本」誌でした。
昭和63年、開業により自宅内を改造するため、雑然とされていた医
道誌を整理をすることになり、目次だけを見て、特に興味のひくものは
紐で括り別にする作業をしていました。その中に「ボンハン学説」の記
事があったのです。
先ずは藤原知先生の「ボンハン学説入門」そして「ボンハン学説を語
る」ボンハン学説映画「経絡の世界を観る」でした。
すでにボンハン学説は否定的とされているとの認識が私の中にあった
のですが、そこには、これが経穴だ、これが経絡だといわんがばかりの
写真がちりばめられていただけでなく、これにかける藤原先生の熱意と
気迫のこもった文章がありました。
かなりの時間、整理の手を忘れて、その場に引き込まれてゆくように
記事を読み続けていたことを覚えています。さらに驚かされたことがあ
りました。ボンハン学説の否定的要因につながる、臨床的追試とは、私
自身が過去に観察したことのある、鍼がゆっくりと円運動をする現象で
あったのです。(つづきを見る)
経穴観察
体表部に表れる発疹や皮膚変化と経穴経絡の相関を観察し、臨床応用をする研究をしています(一部発表済み)

取穴部の皮膚観察

血管腫の特性

施灸による角化の状態

色素による経穴探知