免疫力向上に鍼灸

  予防接種・注射とツボの秘密

● ご注意
1.コロナ予防に関連して、鍼灸による免疫力向上を主観的

  に説明する ものです。
2.施術による効果の保証はありません。
3.治験による効果測定を有しません。
4.臨床上の観察、先人の研究をもとに類推するものです。
5.ワクチン・治療薬の効能を否定するものではありません。

​6.   コロナ禍については、井上正康先生の情報を信頼しています (2021/2/15 補記)

 コロナ予防について、医学的に全身性の免疫向上を強化する期待が高まる中、本邦の感

染拡大が緩やかな理由に、BCGワクチンの質や普及が取り上げられました。この問題に

ついて、接種機序に鍼灸との相互関係があると考えます。
 お灸の痕(あと)と予防接種の痕跡が、同じ瘢痕であり、又、予防ワクチン接種、ある

いは予防注射を行う部位が、私たちが皆さんに行う鍼灸の目標とするツボ(経穴)と同じ

であることについて考えてみました。
 そして、鍼灸が免疫力の向上に貢献できることについても、皆さんにわかりやすく説明

し、鍼灸の普及と、皆さんの健康維持の参考になればと考えます。

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 子供の頃、銭湯などに行きますと背中に大きなお灸の痕(あと)のある方を見かけたも

のです。又、夏ともなりますと、衣服から露出される肩先や腕には、過去の種痘の痕や、

BCGの痕のある方を見かけます。
 ツボ(経穴)やツボのつながり(経絡)が、生命の存続に有意義な機能と形態を有し、

系統的に存在するという経穴経絡の実態研究に、長きに亘り関わってきました。 
 その過程で、皮膚に生じる微小な白斑(白ほくろ)と同一範疇の瘢痕について、経穴

(ツボ)との相関を、臨床観察を経て行ったことがあります。(発表済み)
 又、白斑や瘢痕の発生について、自然と皮膚に生じた点状の表皮剥離・欠損・脱落部

の観察(未発表)も行い、経穴(ツボ)との相関を考察しました。

​経穴(ツボ)の部位と、近接するBCGと種痘の痕(あと)

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 予防接種の部位は、予防接種実施規則により、上腕伸側又は肩部とされ、種痘が右指定

であったため、BCGが左となった経緯があるようです。(すでに種痘の実施は行われてい

ません)                                                                        

 接種部位と経穴(ツボ)の位置との関係ですが、接種される上腕部つまり肩から肘に至る

部分は、そもそも経穴(ツボ)として解熱や胸部疾患に効能の期待される部位です。

 上腕伸側又は肩部は、屈側、胸部に比して、経絡では陽経という比較的強い刺激を感受で

きる部分です。
 経穴を例に挙げますと、上腕の後ろ面に三焦経という経絡(ツボのつながり)が走行し

ています。十二の経絡は体内の器官と相関し、器官名で肺経、大腸経というようにも呼ば

れています。

 因みに肺経の尺沢穴は平常時にも注射や点滴、大腸経の手五里穴や肩隅穴・三焦経の肩

髎穴付近もかつては予防接種の痕が散見され、臂臑穴及び臑会穴を含む三角筋内及び周囲

の近接点も予防接種を受ける部位です。

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 上腕骨三角筋付着部は無名穴だが、頚腕症候群、肩関節周囲炎・腱板損傷及び内因性疾患・アレルギー性疾患の阿是穴(圧痛・発痛著明点)として有​用される。

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 三焦という器官とは何ぞやと思われる向きもおられることでありましょうが、三焦経と

心包経は「名はあれど形なし」といわれる経絡です。器官というより機能を有す「場」と例えるのも一考です。

 中国秦漢以前の書といわれる「難経」に、「三焦は、水穀の道路にして、気の終始する

所なり、上焦は、心下の下隔にあり、胃の上口にあり、内る(入れる)を主りて出さず…

(以下省略)」とあります。三焦は、上・中・下の三焦からなり、上焦は、体幹の胸部よ

り上部に相当します。肺や腹に積もる気の力や、運動や活動等によりヒトの体内に起こる

「ふいご」のような機能に係ると考えられます。
 三焦は熱気・邪気等と不要物の排泄。気血栄衛の循環、そこには、「衛(まもる)」と

いう免疫系の作用も含まれます。このような体内の液性機構は、過去に観察した拙稿「鍼

の旋回運動」からも類推できるものでした。
 その三焦経上に、消濼穴と清冷淵穴という経穴があります。その名からして熱中症等を

含む熱気の停滞、熱性疾患、肺炎・気管支炎等胸部疾患の効能をうかがうことができます。

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 予防接種・注射の行為は、ワクチン塗布・薬液投与を、注射針やハンコ針という「針」を介する過程を経て行われるものです。​

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 当施設での施灸例(手五里穴)1週間後の状態。

この程度の施灸は、発赤、表皮剥離、痂皮、色素沈着等の過程を経て、痕跡は、1~2か月で消えてしまう。定期的、継続的な施灸が望ましい。

    鍼灸は、侵襲性医療の技術行為に属します。侵襲性医療とは(注射や外科的器具として

代表的なものがメス)生体を損傷させる行為及び機転により疾患・傷病を治癒に導こうと

いうものです。しかし、当然、損傷を最小限に抑える工夫と技術を要します。鍼灸は、生

体に対し、経絡のしくみを応用し、多様なアプローチを備えています。

 鍼灸は、外気と表皮、表皮と真皮、皮膚と間充織、間充織と筋へ、病態に応じ、先ず、

安全に、できるだけ苦痛を避け、できれば心地良い微妙な感覚を得ることを目的とする手

技が用意されています。 
 

 経絡の現代医学的説明のひとつに、ヘッド氏帯(知覚過敏帯)、デルマトーム(皮膚分

節)を例にあげることがあります。脊髄神経の領域とする脊柱上の陶道穴・大椎穴・身柱

穴や脊柱側沿の兪穴(兪とは治癒と同じ意味。例・肺兪、隔兪)といった体幹の経穴も気

道・食道、呼吸器・消化器等に作用する経穴です。図のように、その区分は上肢(腕)に

及んでおり、その範囲内が、同じ反応(診断)と効能(治療)の場と考えられます。 

 又、ヘッド氏帯とは、似て非なるものとして平田氏十二反応帯があり、図のように上腕

部は呼吸器系に相応し、ぐるりと上腕を一周する帯状部分となるものです。
 ここまで名をあげた経穴は、インフルエンザやコロナ予防に推奨する経穴ですが、ヘッ

ド氏帯(知覚過敏帯)、デルマトーム(皮膚分節)、平田氏十二反応帯のように、領域・

区分として考えますと、多少の誤差のあるツボの取り方であっても、さして効能に問題は

ないと考えます。

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上図は、デルマトーム。

下図は、平田十二支帯。

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 免疫系にどのような影響を与えるかという問題ですが、過去に結核予防にお灸を推奨さ

れた原志免太郎医博が、灸による赤血球の増加及び火傷毒が結核予防機転に関与すると、

昭和初期、実証的な統計を基にした研究を発表されました。
 弱毒化されたワクチンに、原医博が指摘される火傷毒(ヒストトキシン)は相当すると

考えます。灸による火傷毒は、自己産出によるものであり、適度な毒性は、安全性を有し、

抵抗力を強化すると考えます。 
 

    創傷治癒を考按しても合目的と考えられます。皮膚は外界との接触部分であり、損傷の

機会に遭遇し易いため、修復能力は欠かせない部分です。

 免疫力に係るツボの秘密は、その点とも相関すると考えますが、観察を基に、このメカ

ニズムについて、別の機会を得て報告する予定です。
 

 拙論の上腕・肩部を主とする上肢説は、予防接種を例にした説明上の仮説です。
 原医博は、結核予防に施灸部位にこだわらないが、灸痕による美観の損失と施灸後の接

触炎を避けるため、選穴に腰部も良しとし、足三里穴も勧められました。足三里は長寿の

灸とよばれ、健胃の灸でもあります。​ 

 足の三里は、中風七穴(脳卒中予防ー右図)

脚気八処(坐骨神経痛等)といわれる特定疾

患用ツボのひとつでもあり、昔から名灸穴と

して、日頃から灸をすえよと​いわれている。

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 下腿は、「瘀血(おけつ)の外證」とよばれる苔癬が発生しやすい部位です。苔癬には

真菌が関与します。瘀血症は、東洋医学の重要病理といっても過言ではなく、感染症重症

化の基盤となり得ます。痂皮の形成状態も不良です。血液検査で異常値がある、肝腎疾患、

糖尿病等がある方に、そのような傾向がみられます。(瘀とは、悪い・汚い・古いの意)

 施灸にも注意を要します。適応する施術方法、ドーゼ(量)は、安全と効果を左右しま

すが、施術が不適と判断することも含め、先ず安全な方向を選ぶことが肝要です。施灸は、

プロの判断に委ねることです。

 

 雑誌等報道によるBCGワクチンの問題については及びませんが、係る鍼灸とその基幹

となる経穴経絡の観点から、感染症予防と免疫力向上について考えてみました。

 コロナ予防のワクチン開発が諸理由により遅延されるなら、避難的にも、代替療法とし

ても、鍼灸を予防に利用する価値は有ると考えます。

 部位(経穴)にこだわりがないということを押し延べて考えますと、平時より鍼灸を受

療されている方は、同時に免疫力に良い影響を及ぼしていると考えます。

 

 
 

文献)

​日本株のBCG接種にコロナ死抑制力の根拠 :週刊新潮20年4月23日号.他類似記事.

改訂 灸法の医学的研究 原志免太郎:1941 春秋社.

ヘッド氏帯の臨床応用と鍼灸術 後藤道雄:1917刀圭書院.

鍼灸真髄 代田文誌:1941 医道の日本社.   

刺絡治療法 丸山昌朗 工藤訓正:1957 医道の日本社. 

難経の研究 本間祥白:1968 医道の日本社. 

心療医典 平田内蔵吉:1932 木村書房.

​鍼の旋回運動 小柴元:医道の日本誌 2001.6/7/9月号.

経穴観察(白斑・瘢痕篇)小柴元:医道の日本誌 2005.10/11/12月号.

​                                     2020/9/24

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