紙巻モグサを自家製作
スタッフ紹介
当院には、ハンディをもつ女性スタッフが1名おります。
彼女は筑波技術大学保健科学部鍼灸学科を国家資格取得と同時に卒業し、同大付属統合医療センターで研修後、平成27年(2015年)4月より当院に研修勤務しております。
私の父が同門の横浜市立盲学校卒であり、盲ろう重複障害を持つ鍼灸マッサージ師であったことを、前HPから知り当院に応募。私自身もハンディを持つ鍼灸師の育成に関わりたく、又、その可能性を見込んで、父の行っていた昔ながらの鍼按治療(さぐり鍼)及び安全かつ効果的な器具を使用した温灸法(下写真)などを伝授してきました。
斯界における健常者の増加、無資格類似業者増加など社会的な障壁はありますが、ハンディを持ちながらも、古き時代から斯業を守り、真摯に技術向上に勤しむ方々の施術に対し、ご支持、ご理解をお願い致します。
当スタッフの施術について
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女性の施術を担当します。
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鍼灸施術に付帯する手技は行いますが、マッサージのみは行いません。
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鍼灸でセルフコントロールをしておりますが、ハンディを複数(視覚・聴覚・肢体不自由等)有し、不調のため、急なお休みをせざるをえないことがあります。(現在、解消されつつあります)
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代金は、自費施術で3~4000円(45分ぐらい)です。
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技術的にも既に小柴の代わりに施術ができる域に達しており、ハンディをご理解いただける方、ご指名下さる方には何かしらの優遇を考慮します。
▲鍼の刺入状態に拘わらず、灸頭鍼法が行え、網と受けが温灸を安全に固定し、安定した燃焼を保ち、二重筒にストッパーを設ける改良を加えて温度調整を可能にしました。
◀当院オリジナル器具により
温灸を手元(視野内)で着火
温灸器具による紙巻艾着火後の温度変化
着火後、徐々に温度は上がり、快適な温度を最高点として、後にゆっくりと下がる温度曲線を描きます。 (当スタッフによる測定・グラフ化)
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◀熱鍼療法
さぐり鍼、温灸だけではなく、透熱灸の感覚と作用を有し、安全かつ容易に行える器具を考案、臨床に利用しています。
●「さぐり鍼」について
私の父が行っていた鍼(はり)施術は、当時盲学校で行われていた「鍼按教育」で履修した「鍼按治療」と
よばれ、鍼をする前に患部を按じながら、どこが悪いかを「阿是・天応の穴」という、要するに鍼をするツボ
を探し、一本の鍼で一か所ずつに鍼を打ち、適宜「鍼響」を得るための手技を加えてゆくという方法でした。
これは、手間のかかる施術方法で、父の場合、全身の施術となると、つききりで2時間以上を費やしておりま
した。それでいて地域の方を対象としますから、施術料は安価でした。
私は、それにならいはしたものの、父と共に行っていた駆け出しの頃の施術は、その部分的施術のみで、短
時間で済ますというものでした。色々な意味でとても父と同じ様にはできませんでした。しかし、その施術を
常に意識して努めてはきたつもりです。
さて、さぐり鍼ですが、この昔ながらの鍼按治療の基本となるものです。鍼は独特の感覚を有します。これを
「ひびき」とか「鍼響」あるいは「得気」と呼び、この感覚を得ることは、私は効果の上で大切な要素と考えて
います。(必ずしも毎度「ひびき」を要するとは限りません。ひびかせないことを目的とする施術もあります)
この「ひびき」を施術者が感知するには、患者さんに鍼を行いながら、術者の指に伝わる感覚に気を集中させ、さらに良い感覚を得ようと鍼の手技を駆使する。それが「さぐり鍼」です。
私は、この技術を粗雑に行うことなく丁寧に行い、専心集中する能力が視覚障害者は長けていると思います。
私自身は健常者ですが、より一層の効果をあげるため、患者様に鍼をお打ちしている感覚が、どののようであ
るかを、施術の最中にそれなりに伝えていただいています。それにより、施術は一方的なものとならず、合理的
で円滑にすすみ、ひいては効果の向上につながります。具体的には鍼の効果が実感できるようになると、自然に
そのやり取りを心得ていただけると考えます。